9月21日に発表された兵庫県内の基準地価、神戸の商業地は9年ぶりの下落に転じました。三宮再整備の期待感もあり、コロナ禍での初の調査となった昨年は直前までの上昇傾向の後押しもありプラスを維持していたものの度重なる緊急事態宣言など、この1年で飲食、物販店の撤退が相次ぐなどして下落に転じてしまいました。
下落に転じた商業地の多くが位置する中央区の鑑定評価書を詳しくみてみましょう。
基準地価が下落傾向に転じたエリアは加納町、北長狭通、元町通、三宮町などの商業地域や京町、八幡通などのオフィス街が中心です。
一方同じ三宮エリアでも北野町、中山手通、山本通などは基準地価は横ばいもしくは微々たる上昇とコロナ禍に伴う地価への影響はみられていません。
また同じ商業地域でも、来客型の業態が多い下落に転じたエリアと違い八雲通りなど日用品を取り扱う近隣商業地域にあたるエリアは地価への大きな影響は見られませんでした。
実体経済への打撃とは裏腹に、日常生活に関するエリアや住宅地では地価に大きな影響がなかったといえるのではないでしょうか。
住宅地需要は堅調 灘区の地価評価
商業地の地価評価の下落が目立った中央区、六甲を含む灘区の地価評価に注目してみましょう。
灘区内の住宅地需要はコロナウイルス感染症の影響を受けつつも堅調な推移を辿っています。傾向としては駅からの利便性に優れないバス圏のエリアを除き、概ね上昇基調を示しています。近年では比較的手の届きやすい価格帯の南側のエリアを中心に需要が増加しています。また摩耶駅周辺は駅北側のロータリーの整備、スーパーマーケットの開業など周辺の人通りが増したエリアは今後の地価の上昇も予測されています。
来客型の業態が多い三宮エリアと違い、灘区内の商業地域は日用品などを取り扱う小売店舗が多く八雲通りなどと同じように地価評価は横ばいとなっています。
未だ長引くコロナウイルス感染症の影響は商業地域に多大な影響をもたらしてはいるものの、実体経済の受ける影響に反し、住宅地需要には大きな影響を及ぼしていません。米国の住宅需要増加に端を発する建築用木材の高騰、いわゆるウッドショックや、特例による13年間の税金控除を受けるための住宅の契約期限の締め切りなどお家の買い時はますます難しくなっています。
こういう時だからこそ我々の業界でよく使われる『不動産は縁もの』といった言葉を思い出さずにいれません。
思いがけず巡ってくる良縁を見逃さないようにしてくださいね。